不登校の子どもに親ができる対応とは?NG行動と成功例で徹底解説
- 松陰高校みなとみらい学習センター
- 7月24日
- 読了時間: 15分

▶︎1. 不登校とは?親として知っておきたい考え方

1.1 不登校を「症状」ではなく「サイン」として捉える
「うちの子が学校に行きたがらない」——そんな時、多くの親がまず不安になります。
ですが、不登校は単なる「問題」や「異常」ではありません。子どもが出している心のSOSのサインだと考えることがとても大切です。
子どもが学校に行けなくなる背景には、さまざまな心理的・環境的な要因があります。
たとえば以下のような要素が複雑に絡み合っていることが多いです。
学校での人間関係やいじめ
勉強についていけない不安
発達特性やHSP傾向による疲れ
家庭内の環境やストレス
こうした「背景」に気づかず、「なんで行けないの?」と責めてしまうと、子どもはますます心を閉ざしてしまいます。
まずは「行けない=悪いこと」と思い込まず、
「なぜ今、学校に行けない状態なのか?」と原因ではなく“気持ち”に目を向けることが出発点です。
こんな場面を想像してみてください。
朝、学校の準備ができず布団から出られない子どもを前にして、親は焦って「早く支度しなさい!」と声を荒げてしまいがちです。
でもそのとき、子どもは「怒られている」のではなく「わかってもらえない」と感じています。
「不登校は“問題行動”ではなく、“心のメッセージ”である」
という視点に立つと、親の対応はガラリと変わってきます。
1.2 「親の対応」がどんな影響を与えるのか
不登校の子どもにとって、親の対応は心理的な安全基地になります。
親の反応ひとつで、子どもの心が落ち着くこともあれば、逆に不安が増してしまうこともあります。
実際によくあるのが次のようなケースです。
「このままじゃ将来が心配」と将来の話ばかりしてしまう
「他の子はちゃんと行ってるよ」と比較する
「休んでばかりでダメになるよ」と否定的な声かけをする
これらの言葉は、親にとっては励ましや心配から出たものかもしれません。ですが、子どもにとってはプレッシャーや自己否定に繋がりやすいのです。
一方で、次のような対応をとったことで、子どもが少しずつ前向きになった例もよく見られます。
「今日はしんどいよね」と共感を伝える
「一緒にゆっくりしよう」と寄り添う
「あなたの気持ち、大事にしたい」と受け入れる
子どもは、言葉よりも「雰囲気」や「安心感」を感じ取るのが得意です。
だからこそ、親が焦らず落ち着いた態度をとることが、子どもにとっては大きな支えになります。
親の姿勢ひとつで、子どもの安心感や自信の芽が育ち始めることを、ぜひ覚えておいてください。
1.3 不登校対応における「成功」とは?
「うちの子は学校に戻れるの?」と不安に思う方も多いですよね。
でも、不登校対応の「成功」とは、必ずしも“学校に復帰すること”だけを意味するわけではありません。
たしかに、学校に戻れることはひとつの目標かもしれません。
ただ、もっと大切なのは、子ども自身が安心して日常を過ごせるようになり、「自分らしさ」を取り戻すことです。
たとえばこんなことが「成功の一歩」です。
朝、自分で起きて朝ごはんを食べられるようになった
家族と一緒にテレビを見て笑えるようになった
少しずつ「これをやってみたい」という意欲が出てきた
どれも些細なことに見えるかもしれませんが、子どもにとっては大きな前進です。
また、親自身もこう感じられるようになることが大事です。
「この子のペースで大丈夫」と思えるようになった
「前よりも子どもとの距離が近くなった」と感じられる
「焦らず向き合えるようになった」と思えるようになった
不登校対応の「成功」とは、親と子がともに安心して日常を取り戻すこと。
学校復帰は、その延長線上にあるものだと考えてください。
▶︎2. 不登校の子どもへの親の対応で避けたいNG行動

2.1 強い励まし・厳しい指導:逆に負担を増やす可能性
「頑張ればできるよ」「学校くらい行かなきゃダメ」——このような励ましや厳しい声かけをしていませんか?
親としては子どもに立ち直ってほしいという思いから言ってしまうものですが、この“励まし”が逆に子どもを追い詰めることがあります。
実際、子どもはすでに「行かなきゃ」「でも動けない」と葛藤しています。
その中で「頑張れ」と言われると、「これ以上どうすればいいの?」と心が折れてしまうことも。
よくある失敗はこんなケースです。
「明日こそ行こうね」と毎晩約束を迫る
「甘えてるだけ」と突き放すような発言
「泣いたって無駄」と感情を無視する対応
これらは、一時的には子どもを動かすことがあっても、長期的には自己否定や不信感を残します。
代わりに、「今日はどんな気持ちだった?」「そばにいるよ」といったプレッシャーを与えない言葉のほうが、子どもは安心して自分のペースを取り戻しやすくなります。
2.2 原因追及・問い詰めすぎ:関係性に亀裂が入る理由
「なんで行けないの?」「学校で何があったの?」——つい理由を知りたくて問い詰めたくなりますよね。でも、子どもにとってはその“追及”が苦痛になることが多いんです。
とくに、原因が自分でもうまく言葉にできないケースでは、親の質問が「責められている」と感じさせてしまうこともあります。
よくあるNG例は次のとおりです。
「友達とケンカしたの?」「先生が嫌なの?」
「前はちゃんと行けてたのに、どうして?」
「本当の理由を言わなきゃわからないよ」
このようなやりとりが続くと、子どもはどんどん話さなくなり、心を閉ざしてしまいます。
対応のコツは、「話したいときに話してくれたらいいよ」というスタンスを取ること。
無理に聞き出そうとせず、まず“安心して沈黙できる空気”をつくることが先です。
2.3 家庭環境がピリピリ:親の焦りが子どもに伝わる
不登校が続くと、親も次第にストレスがたまります。
「このままでいいの?」「将来どうなるの?」と不安でいっぱいになりますよね。
ですが、その焦りが態度や空気に出ると、子どもは敏感にそれを察知してしまいます。
こんな状況、思い当たりませんか?
朝から夫婦間の言い争いが増える
子どもに対して無言やため息が多くなる
表情がいつも険しくなっている
家庭がピリピリした雰囲気になると、子どもは「自分のせいでこうなってる」と自責感を強めます。それがさらなる不安や自己否定を招く悪循環に。
大切なのは、親自身が自分のストレスに気づき、こまめにリフレッシュすることです。
気分転換に散歩をしたり、誰かに話を聞いてもらったり。親が元気でいることが、子どもにとって何より安心感につながります。
子どもは親の表情や態度から“空気”を感じ取っています。親の落ち着きが、そのまま子どもの安定につながるんです。
▶︎3. 不登校の子どもに親がすぐにできる基本の対応5選

3.1 「学校を休んでもいいよ」と伝える大切さ
子どもが「行きたくない」と言ったとき、親がどう反応するかは非常に重要です。
ここで「また休むの?」と否定するより、「休んでもいいよ」とまず受け入れることが子どもを安心させます。
学校に行けない自分を「ダメだ」と感じている子どもにとって、親の一言は大きな意味を持ちます。「休んでいい」と言われることで、「今の自分でも大丈夫なんだ」と心が少し軽くなるんです。
よくある親の不安は「甘やかしてしまうのでは?」というもの。でも、安心感のある家庭環境が整わなければ、子どもはエネルギーを取り戻せません。まずは休むことを許し、回復の土台を作ることが大事です。
3.2 問い詰めずに“受け止め”を最優先する方法
「何があったの?」「理由を教えて」と、親はつい原因を聞きたくなります。
でも、子どもがまだ気持ちを整理できていない段階で無理に聞き出そうとすると、心を閉ざしてしまうことも。
大切なのは、「今の気持ちを否定せずにそのまま受け止める」ことです。
たとえば…
「つらい気持ちがあるんだね」
「しんどい中で話してくれてありがとう」
「無理しなくていいよ」
こんなふうに共感を示すだけで、子どもは「理解してもらえた」と感じます。
言葉より“聞く姿勢”が、信頼関係を築く鍵なんです。
3.3 子どもが話しやすい環境づくりの工夫
子どもが本音を話すのは、「話しても安全だ」と感じたときです。
無理に聞き出すのではなく、自然なタイミングで会話が生まれるような工夫が役立ちます。
たとえばこんな工夫があります。
一緒に料理やゲームをする
寝る前に絵本を読む時間を作る
車の中など“正面を向かない環境”で話す
何気ない日常の中で、「最近どう?」「今日は何してた?」と優しく声をかけることで、少しずつ子どもは気持ちを開いていきます。
親子の会話は“量”より“質”が大切です。安心感のある時間をコツコツ積み重ねることが信頼関係の土台になります。
3.4 小さな成功体験を増やす仕掛け
自信を失っている子どもにとって、「できた!」という体験は何よりの回復剤です。学校に行くことだけがゴールではなく、日常生活の中で達成感を味わえる場面を増やすことがとても大事です。
たとえば…
朝ごはんを自分で作る
ペットの世話をする
趣味の作品を完成させる
こうした小さな達成を親がしっかり認めることで、「自分にもできることがある」と思えるようになります。
ポイントは、「親の基準」で評価しないこと。
「〇〇ができたね」「ありがとう」と、子ども自身の努力に焦点を当てた声かけが効果的です。
3.5 専門機関や学校との連携を図る方法
家庭だけで抱え込まず、専門家や学校と連携することで対応の幅が広がります。
不登校は長期化することもあるため、外部とのつながりがあることで心強さも生まれます。
活用できる支援の例はこちらです。
スクールカウンセラーや教育相談室
地域の不登校支援センター
フリースクールや適応指導教室
児童精神科や心理カウンセリング
学校との連携では、無理に登校を促すよりも「どこまで関われるか」を話し合うスタンスが大切です。
「教室外でプリントを受け取る」「給食だけ参加する」といったスモールステップでの支援が、本人の安心感に繋がります。
一人で抱え込まず、外部の力を借りることは“弱さ”ではなく“強さ”です。
▶︎4. 年代別に見る不登校の子どもへの親の対応
4.1 小学生:家庭中心・母子分離不安への寄り添い
小学生の不登校は、母子分離不安や家庭環境の影響が大きい傾向があります。
特に低学年では、「お母さんと離れるのが怖い」「家が安心だから外に出たくない」という心理が根底にあることも。
よくある場面としては…
朝になるとお腹が痛いと訴える
登校直前に泣き出す
学校に着くとしがみついて離れない
こうしたとき、無理に引き離そうとすると、余計に不安が強まり、かえって長期化することもあります。
対応のポイントは、「安心できる時間を丁寧に過ごす」こと。
たとえば…
毎朝のハグや笑顔の声かけを欠かさない
一緒に登校する練習をする
絵本を使って気持ちを言葉にする手助けをする
小学生には、“安心”が何よりも大切です。家が安全基地だと感じられることが、次の一歩を踏み出す原動力になります。
4.2 中学生:思春期・交友関係・受験ストレスに対応
中学生になると、人間関係の複雑さや成績へのプレッシャーが不登校の主な要因になることが増えてきます。思春期特有の「親に見られたくない」「干渉されたくない」という感情も強くなるため、距離感のとり方が難しくなります。
よくあるサインは…
急に反抗的になる
SNSばかり見ている
「ほっといて」と部屋にこもる
こうした態度にイライラすることもありますが、実は「誰かに気づいてほしい」「助けてほしい」という裏返しでもあります。
親として大事なのは、「見守る」と「放っておく」を混同しないこと。
たとえば…
食事の時間だけは一緒に過ごす
「話したくなったら聞くよ」と伝えておく
子どもの好きなことに共感してみる
中学生には、“尊重されている”という感覚が安心感につながります。焦らず、信頼をゆっくり育てましょう。
4.3 高校生:選択肢を広げるサポートと自立支援
高校生の場合、進路や将来に対する不安が大きくなりやすく、「自分には何もない」と感じて不登校になるケースも目立ちます。
特に、他人と比べる意識が強くなり、自信を失ってしまうことが原因になることもあります。
よく見られる行動としては…
寝る時間が昼夜逆転する
将来の話になると黙り込む
「どうせ無理」と投げやりになる
この年代では、「学校に行く」こと自体よりも、「これからどう生きていくか」を一緒に考えていく姿勢が大切です。
対応のポイントは次の通りです。
通信制高校やサポート校など選択肢を一緒に探す
バイトやボランティアなど社会経験を視野に入れる
「やりたいことリスト」を一緒に書き出してみる
高校生には、“未来に希望を持てるようになること”が最優先です。
選択肢を否定せず、「一緒に考えよう」というスタンスが安心感につながります。
▶︎5. 不登校の子どもに対する親の対応:失敗と成功の分かれ道
5.1 よくある失敗3つと対応策
不登校の対応は、親にとっても迷いの連続です。
ここでは、よくある3つの失敗例とその対策を紹介します。
①「無理やり登校させようとする」
子どもの状態を見ずに「とにかく学校に行けばなんとかなる」と思って行動すると、かえって心の傷が深くなります。
【対応策】:まずは本人の気持ちを尊重し、「行かなくてもいい」と安心させてあげることが大切です。
②「自分を責めすぎてしまう」
「育て方が悪かったのかも」と親が自責の念にとらわれると、余裕を失い、子どもにも不安が伝染します。
【対応策】:原因探しより「今できること」に意識を向け、少しずつ前向きな関係を築いていきましょう。
③「家庭内の空気が重くなる」
無言の圧力や、親の落ち込んだ態度が続くと、子どもは「自分のせい」と感じてしまいます。
【対応策】:親も気分転換を意識し、明るい声かけや笑顔を意識することが効果的です。
失敗は誰にでもあります。大切なのは、“気づいた時点から対応を変えていく”ことです。
5.2 日常の具体例で見る“子ども視点”の変化
子どもの心の変化は、日常のちょっとした行動に現れます。
親の対応が変わることで、子どもも徐々に自信と安心を取り戻していきます。
たとえばこんな変化がよく見られます。
「今日は朝ごはん、一緒に食べようかな」と言い出した
外に出るのが苦手だったのに、庭に出て日光浴を始めた
昔好きだった本をまた読み始めた
これらはすべて、回復へのサインです。
親が「できたこと」をしっかり受け止め、「うれしいね」「頑張ったね」と言葉にすることで、子どもの中に“自分にもできる”という気持ちが少しずつ芽生えます。
子ども視点で大事なのは、「頑張りを評価されること」ではなく、「ありのままを受け入れられること」。この安心感が、自然な回復を促します。
5.3 専門のサポートを取り入れた成功パターン
親だけで悩み続けるのはとてもつらいものです。
専門家のサポートを活用することで、状況が大きく好転することもあります。
よくある成功パターンには次のようなものがあります。
スクールカウンセラーに相談したことで、親も安心できた
フリースクールに通い始め、子どもが笑顔を取り戻した
カウンセリングを通じて、家庭内の会話が増えた
重要なのは、「最初から完璧を求めないこと」。
子どもに合う支援先を探すには時間がかかることもありますが、一歩踏み出すことで新しい視点や希望が生まれることも多いです。
また、専門機関と連携することで、親自身のストレスや孤立感も軽減され、「一人じゃない」と感じられるようになります。
専門のサポートは、子どもだけでなく“親自身のため”にも必要な選択肢です。
▶︎6. まとめ:不登校の子どもへの親の対応で大切なこと
6.1 親ができる対応のポイントをもう一度おさらい
ここまでご紹介してきたように、不登校の子どもにとって、親の対応は安心感と信頼の土台になります。大切なのは、正しい答えを見つけることではなく、「その子の気持ちに寄り添って、一緒に歩んでいく姿勢」です。
もう一度、親が意識しておきたい対応のポイントを整理しましょう。
「行かないこと=悪いこと」と決めつけない
子どもの“今の気持ち”に丁寧に耳を傾ける
無理に登校させず、安心できる時間を重ねる
小さな成功体験を見つけ、しっかり認める
専門機関や学校と協力し、孤立しないようにする
「親に受け入れてもらえた」と感じるだけで、子どもは少しずつ回復のステップを踏み出します。
6.2 明日から始められる“3つの行動”
今すぐできることから始めてみましょう。完璧じゃなくて大丈夫です。
「できることを、できる範囲で」が合言葉です。
「今日はどうしたい?」と聞いてみる
子どもが自分の気持ちに気づくきっかけになります。
一緒に1分間だけ深呼吸する時間をつくる
焦りや不安が少しやわらぎ、親子ともに心を整えられます。
「いつもそばにいるよ」と言葉にして伝える
何気ない一言でも、子どもにとっては大きな支えになります。
この3つだけでも、親子の関係に小さな変化が生まれます。大切なのは、“続けること”です。
6.3 専門家のサポートを考えるなら
それでも「どうしていいかわからない」「このままでいいのか不安」という時は、迷わず専門家のサポートを検討してください。
専門機関や支援団体、スクールカウンセラー、医療機関などは、子ども本人の支援だけでなく、親の相談にも応じてくれます。
一人で抱え込むよりも、客観的な視点を得られる
親の不安が軽くなることで、子どもにも良い影響が出る
自分たちに合った支援方法が見つかるきっかけになる
誰かに頼ることは“弱さ”ではなく、“親子を守る力”です。
必要なときに、必要なサポートを受けることで、対応の幅が広がります。
▶︎安心できる学びの場を探しているなら、松陰高校みなとみらい学習センターへ
不登校の子どもにとって大切なのは、安心して過ごせる環境と、自分のペースで学べること。
松陰高校みなとみらい学習センターでは、通信・単位制を活かし、基礎学力の定着から社会で活きる力まで、丁寧にサポートしています。
学校見学や個別相談はいつでも受付中です。親子で安心してスタートを切るために、まずは気軽にご相談ください。
コメント